先生たちは催眠術師ではない
塾や学校に過度の期待をする親は、とにかく良い先生にさえ出会えれば子供の学力は全国トップクラスまで伸びるはずと考えているようです。「良い先生」は全国にたくさんいるんですよ。学校の先生だろうと予備校や塾の講師だろうと、どこにでもいます。その「良さ」にはいろんな解釈があるでしょうが、このような親の考える「良さ」とは違うでしょうから一生「良い先生」には出会えません。
こういう親の言っている「良い先生」とは、「子どもを魔法にかけて勉強させ、超天才にしてくれる先生」とか「授業を聞けばすらすら全部頭に入ってきて何の努力も無しに100点をとれるようにしてくれる先生」のことです。普通の人が見たら「あり得ないでしょ」と笑うような話ですが、実際にこういう親はけっこういます。「褒めて伸ばす」の意味をはき違えていて、「何をしても褒めまくって子供を天才にしてくれる先生」の存在を信じているのです。当然こういう思考のお母さんの子は塾に行ってもそんなに伸びません(関連記事:「地頭には個人差があります」)。最初のうちは「わかりやすくて優しくて良い先生」と「べた褒め」していたとしても、いざテストが上がらないと不満をぶつけてきます。塾に来たことでほんの少し伸びてはいるのですが、ほんの少しでは満足できないので褒めることもありません。他人には「褒めて伸ばす」ことを期待するくせに肝心の親がそれをできないのです。自分ができないことを人に強要しておきながらクレームばかり入れる親がいるのです。
こういうお母さんたちは勉強(努力)した経験がないので、子供たちにも努力の大切さを教えていません。ですから子供も努力できません。努力しないのだから余計に伸びないし褒めてもらえないという悪循環に陥ります。
「すごくわかりやすい授業をしてくれる先生」は多くいます。塾に行き始めたら「頭にスルスル入ってきた」という経験をしたことがある人もいるでしょう。その「スルスル入って覚えることができる」かどうかにも個人差があるのです。子供たちの地頭に違いがあるのですから当たり前です。最低限の学力が無ければ「わかりやすい授業」かどうかの判断すらできません。実際、私の授業に出席して「本当にわかりやすい!」と感動してくれる生徒がいる反面「何を言っているのか全くわからない」生徒も少なからずいるのです。その授業を理解するレベルにはない生徒たちです。例えば、小学校1年生に世界一わかりやすい関数の授業をしても理解できるわけがないですよね(IQ160とかならあり得るかも知れませんが)。
まずは、自分の子供が塾の授業についていけるレベルにあるのかどうかを判断しましょう。北海道の内申点ランクGランク以下の場合は、学校の授業にも塾の授業にもついていけない可能性が大きいです。その場合は、マンツーマンの個別指導か家庭教師にしましょう。あるいはいっそのこと何もしないでそのお金は別の教育費に充てるという方法もあります。(関連記事:「誰もが塾に行く必要はあるのか」へ)。
塾や家庭教師にお金をかけるのなら、始める前に「自分がやらないとできるようにはならない」ということと「先生の言うことを素直に聞く耳をもつことが大切だ」ということをしっかりと教えましょう。家庭でそういう教育をしていなければ結果はそうそう出ません。塾から塾へ転々としながらお金を捨て続け、結局は何も残らないで大人になってしまいます。
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