合格確率2%での挑戦、見事合格!

 もう10年以上前、千歳で塾を始めたばかりのころのお話です。

 千歳市生徒第2号の女の子でした。この子は性格がとても明るくて素直。お母さんもとっても明るい人。そして、この子は「運」も強い。親は「本人が勉強するなら協力は惜しまない」というスタンスだったし、祖父母がお金持ちだったらしくて海外旅行にも連れて行ってもらってました。英語が書けないわりには何とか読めて意味も何となくわかっていたのでラッキーでした。


 勉強はあまりできませんでした。国語力が弱いのでどの教科も平均以下。数学も分数の計算すら危うい。英語は前述したとおり。

 中3になった4月に入塾。志望校は千歳高校。当時は国際流通科(旧商業科)でも今よりけっこう難しくて偏差値は52程度。つまり平均よりはちょっと上にいないと受かりません。正直、無理だよなぁってレベル。


 作戦として、まずは6月の定期テストまでひたすら中3の範囲を勉強しました。今習っている範囲を精一杯勉強すれば、定期テストではけっこう良い点数が取れるだろうし自信につながるはず。そうすれば嬉しくなってさらに勉強するはず。

 と、思っていたのですが・・・。毎日毎日あんなに一生懸命勉強したのに、なんでこんな点数???という結果。そのときは不思議で仕方ありませんでしたが、今ならわかります。これが「偏差値40の子の現実」なのです。テスト範囲だけをひたすら勉強しても、基礎学力がないので平均点にすら届かないのです。それまで勉強する習慣が無かったから、記憶力も良くない。国語力が無いので問題文を理解しきれていない。塾で教えられているときは返事だけしてわかったふりをする。そもそも説明のほとんどがわかっていないから質問のしようがない。ほかにも挙げればキリがないのですが、そういう感じでとにかくがっかりした前期中間テスト。あとから入塾してきた同期の子にも大きく差をつけられ、本人は悔し泣き。

 「悔しいということは、それだけ努力したということだよ。だって去年まではもっと点数が悪かったのに悔しくもなんともなかったでしょ?今回悔しかったということは、努力はしたということだから。次はその努力を結果に変えよう。」と二人で再度受験勉強への決意を固めました。

 そこからは、夏休みが明けるまでずっと基礎学習。中1、中2の範囲どころか小学校まで戻っての計算特訓、社会の暗記。都道府県すら覚えていなかったから本当に大変でした。・・・毎日毎日、勉強勉強。

 この子は、塾に来る前にものすごく高い教材を買っていました。おそらく20万とか30万とかかな?私と勉強しなかったら「宝の持ち腐れ」でした。はっきり言って教材にそんなお金をかけるのは単なる無駄です。(それについては、「教材ばっかり買うな」で説明しています。)でも、せっかく買ってもらったのだからしっかりと使わせてもらいました。

 9月の前期期末テストでは、やっと少し満足のいく教科も出てきました。それでも志望校のレベルには全然届いていないし、「なんであんなにやった問題をこんなに間違えるの?」と思うものは多々ありましたが、そこはあまり突っ込まず出来たところだけ二人で喜んでおきました。

 そしていよいよ秋の学力テストへ突入。北海道では、9・10・11月に行われる学力テストA・B・Cが入試の模擬試験みたいな役割を担っていて、この点数で志望校を受けても大丈夫かどうかを判断します。(詳しくは、「北海道の受験準備」へ)

 あれだけ頑張ったのだから、せめて半分は取ってくれ!と祈るような気持でしたが玉砕。学力テストは今まで習ってきたすべてのなかからまんべんなく出題されます。とにかく短期間で3年分の知識を詰め込んだ彼女にとって、覚えたものの中から一体どれを引っ張り出せばよいのかわかりません。何かよく理解はしていないけど、思い出した単語を書くだけ。いわば当てずっぽうです。仕方ありません。9年間の学力を半年で補うには無理があります。

 三者面談では、偏差値30代の高校を勧められてまた号泣。私も作戦を切り替えることにしました。どの教科も期待したほど上がらないのは、国語に原因があるのは間違いない。まずは文章をきちんと読めるようにしようと。その時には中3が5人に増えていましたが、国語の授業のときはすべて彼女に音読させました。そこで衝撃的発見がありました。国語の偏差値が40未満の子は、漢字どころかひらがなも正確には読めていないということです。雰囲気だけで適当に読んでしまっているのです。例えば、「その時、彼に衝撃が走ったのだ。」という文章を「そのときはかれにはとつげきがはしった」といった感じです。「、」で一拍置くこともなければ、「。」でしっかり一呼吸入れることもありません。むしろ「。」から次の文章にいくところで急いでつなげているように聞こえます。これでは、歴史の教科書から流れをつかむこともできないし、理科の問題では何を聞かれているのかすらわからないのも納得です。1ヶ月以上、国語の授業はすべて彼女に音読させ、一字一句間違いを指摘し、読むリズムも整えさせました。そうすることで、はじめて情景が目に浮かんだり感情を読み取ったりすることが少しできるようになりました。

 あっという間に冬休みに入り、毎日全員で入試の過去問を解いては解説授業。ここに来てやっと少し希望が見えてきたかなと思って受けた1月の模試。最後の模試。ここでも合格確率は2%のまま・・・。もう、私も本人も当たって砕けろという覚悟を決めつつあきらめはせず。入試前日まで過去問演習。

 入試当日、自己採点が終わった彼女からの電話からは、「先生!国語が52点(60点満点です)だ!!今までの2倍以上だ!!!」という歓喜の声。「やったー---。他の強化は?」「他の教科もほとんど過去最高点だよ~」「やったね~」とお互い涙声。

 それでも発表までは心配で仕方がなかったのですが、合格率2%しか見たことのなかった彼女が見事に合格。私も嬉し泣きしてしましました。

 この子の長所は明るさと素直さ。そして辛いことがあっても決して「辞める」と口にしなかったこと。最後まで頑張る決意が固かったからこそ、奇跡の合格を果たせたのだと思います。


アクティブ スタディ

北海道千歳市にある高校受験のエキスパート ~アクティブ・スタディ~

0コメント

  • 1000 / 1000